自作詩です。
『独りのよる』
きいろい鱗粉をこぼすさらさらとした明かりあり
そらに哀しい気配あり
はら、 はら、
と歌うその明かり
夜にうみべへ崩れゆく 静けさのごとし
裏庭に 黄金虫のぽつんとしたボタンの目あり
偽物のブローチのようなそのまなこ、
眩しげに おおぞらの冷たさをみつめ
降りかかるあたらしい人陰 とその暗いきょうふに
ピンで止められたやうに静止している。
その道中、ひよ、
といふトゲの籠もる呼吸のどにあり
ひよ…
ひよ、ひよ、ひよ…